2021年09月21日

木桶の醤油について、ヤマロクさんに聞いてみた

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先週に引き続き、今日も「瀬戸内しまラジ!」放送では
讃岐の醤油醸造技術の
無形民俗文化財登録についてお知らせします

今日は木桶作りを受け継ぐ醤油蔵の目線から
ヤマロク醤油の山本康夫社長にお話いただいています


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醤油には5種類あって、色の薄い方から
白醤油、薄口、濃い口、再仕込み、たまり、と呼ばれます。

「通常の醤油は塩水のなかに大豆と麹を入れて発酵させ、搾って醤油にしますけど、そうやってできた醤油のなかにまた大豆と麹を入れて作るのが再仕込み。
だから原料も倍必要だし、時間も倍かかる。
でも手間と時間をかけた分、濃厚でまろやかになる。
やっぱり木桶で長く時間と手間をかけて作った再仕込み醤油はおいしいですね」


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山本社長は2012年から「木桶職人復活プロジェクト」を始動。
ボルドーやブルゴーニュがワインの聖地となっているように、
小豆島を木桶醤油の聖地とするべく活動しています

「そもそも木桶で作った醤油が全国の醤油生産量の1%しかないなかで、小豆島には日本で一番たくさんの木桶が集中しています。
最近、日本醤油協会と東京聖栄大学の教授とで木桶の実態調査をして、いま全国で現役で使われている桶の数が4765本あることがわかりました。これは醸造だけでなく、出来上がった醤油を貯蔵しておくためなど、発酵以外で使われているものも含まれています。
そしてそのうち1100本が小豆島にあります。しかもそれらはすべて、発酵させる醸造容器として使っているんです。
小豆島には昔から木桶がずらっと並ぶ光景があって、それが普通だと思っていましたが、ほかの地域からみたら全然普通じゃないんですね」



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ヤマロク醤油さんの醤油は2種類しかありません。
一つは、丹波の黒豆を原料としている菊醤(きくびしお)。
そしてもう一つは、再仕込み醤油の鶴醤(つるびしお)です。

「日本人にとって醤油って、あまりにも身近なものすぎて、とくに意識することがないと思うんです。いくつかの醤油を並べて食べ比べした経験のある人はほとんどいないでしょう。
でも、醤油を変えると料理の味ってガラッと変わるんです。木桶仕込みの醤油は味に個性があるからなおさらです。だから本来は醤油って、大容量のものをドバドバ使うよりも、小さいサイズのものを何種類かそろえておいて、料理に合わせて使い分けるのがおすすめなんです」


さらに、生産者としての切実な思いも💦

「実は醤油って、4割捨てられていると言われています。
たとえばお刺身を食べたあとの醤油、捨てますよね。
うどんやそうめんも、残ったダシやつゆは捨てますよね。
そうやって4割捨てられていくんです。
そこの意識を少し変えて、家庭で捨てる量をできるだけ減らしていってほしいですね」

現在、木桶仕込みの醤油は全生産量の1%。
それを、世界の1%にすることを山本社長は目指しています。

「今回、登録無形民俗文化財となることは、海外のお客さんに対してのアピールにもなると思うんです。醤油って文化財になるくらい大切な伝統なんだ、と認識してもらえる。実際、海外の一部の層には、ワインやウイスキーと同じように木の容器で仕込むものとして、木桶の醤油がプレミアムなものとして認知されるるあります。そういう面で、文化財に認定されることは後押しになると思っています。そして、これを機に、日本の人にも醤油に着目してもらいたい。いい醤油で、食卓を豊かに。それをまずは香川で実践して、全国に広げていきたいです」

ヤマロク醤油さんでは、海外からの受注が売り上げベースで16.9%。これは昨年の倍以上だそう。木桶仕込みのプレミアム醤油が、海外の富裕層に認知され始めています。


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取材中、コーヒーと煮豆を出していただきました。この豆、おいしいんですよね…。

少し先の話ですが。
昨年に引き続き「木桶による発酵文化サミット」が
ヤマロク醤油で開催されます。
日程は2022年1月20日(木)〜22日(土)🚩
これは醤油蔵や食品業者など関係者しか参加できませんが、その翌日、
2022年1月23日(日)には誰でも参加できるイベントを開催
タガフープ本戦も行われます。
さらにその翌週、1月25日(火)〜29(土)は桶づくりを一般公開。誰でも自由に桶を作っているところを見学できます。

もちろんその様子は、このブログでもお伝えする予定。
また近くなったら改めてお知らせします


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posted by しまラジ! at 07:00| 香川 ☁| ○日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする