肥土山農村歌舞伎を楽しみにしている人が
まばゆい新緑に抱かれた桟敷にたくさん集まっていました


今年の当番の下組のみなさんによる
「青砥稿花紅彩画 雪ノ下 浜松屋の場(あおとぞうしはなのにしきえ)」では
浜松屋へゆすりに来た弁天小僧の
「知らざぁ言って、聞かせやしょう。」から始まる台詞や南郷力丸のタンカ。

河竹黙阿弥の名台詞は演じている人も気持ちよさそうで、
拍手やおひねり、声援が飛び交っていました


ひっこみの際には
「そこの岡田屋で惣菜でも買ってやるよ」
なんてアドリブも飛び出してどっと沸いていました


役者と観客、会場がひとつになるのは、何より楽しい瞬間ですね。

開幕時にはまばゆい新緑でいっぱいだった農村歌舞伎舞台。
だんだんと日が暮れていき、提灯にも明かりがともてると


肥土山農村歌舞伎保存会のみなさんによる
御所桜堀川夜討 弁慶上使の段(ごしょざくらほりかわようち べんけいじょうしのだん)
が始まる頃にはあたりはすっかり夜のとばりが下りていました


切狂言(大切)とあって保存会の方の演技にも熱気がこもります。
場面が進んでいくほどに役者さん達の演技に見入ってしまいます。
桟敷も和気あいあいとしていた空気から芝居内容に沿ってどんどん緊迫したものになっていきました。

重厚なお芝居でお客さんを引き込んでいくのはさすが、保存会のメンバー貫録。
役者達の熱演を後押しするのは舞台のある肥土山の素晴らしいシチュレーションです。
客席の上には星空、舞台の周りは春の闇に包まれていて、
遠くでは蛙の鳴く声もしていました

そして、あっという間に終幕。

今年も無事に上演できたこと、これからも長く続いていくことを祈って
役者・関係者、お客さんも一緒の大阪締めで幕を降ろしました。

肥土山農村歌舞伎を今年も身体いっぱいに感じることができました。
普通の劇場では味わうことができない農村歌舞伎の魅力はやっぱり実際に体験しないと
わからないような気がします。
そして、一度体験したらその不思議な魅力に取りつかれてしまうのかも・・。

来年も肥土山農村歌舞伎は5月3日に開催予定です。
来年は回り舞台が使われる演目だといいなー。
なんて、終わった瞬間から次が楽しみになってしまいました

*5月3日は肥土山農村歌舞伎へ(ニーナ)
肥土山農村歌舞伎保存会会長 佐々木育夫さんインタビュー