
インタビューはアクティブ大鐸(おおぬで)(旧大鐸(おおぬで)小学校)」の中にある
おけいこ場。
公演間近とあって、お稽古場には髪を結いなおしている鬘や小道具が置いてあり
本番直前の緊張感にちょっとドキドキ

雰囲気満点の中での取材になりました


肥土山農村歌舞伎が300年もの間ずっと途絶えずに続いているのには何か理由があるんでしょうか?
「やはり伝統を守ろうという思いがこの肥土山の人は非常に強かったのではないかと思います。
途絶えたことはないのですが、私が子どもの頃、映画とかテレビがすごく広まった時に歌舞伎はちょっと衰退しました。
ですが、これじゃいかんと、もう一度盛り上げていかないかんとの思いが強くなって、また再びにぎやかになってきたという状況です。」

肥土山農村歌舞伎は、役者はもちろん、衣装の着付けや義太夫、お三味線まで全部、地元の人たちの手で作り上げられる地元の芸能。今年の主催は肥土山自治会・下組だそうですが、この主催というのはどういうことですか?
「肥土山の地区に6つの小さな地区がありますのでこの地区が順番に主催として運営をしています。
運営をすると非常に負担が大きくて大変なのでみんなで分担をしようという事です。
これも続けていくのに一番いい方法だと思っています。」

毎年、5月3日に上演する意味はありますか?
「離宮八幡の例大祭が5月3日に行われて、五穀豊穣を祈ったりするので
その奉納歌舞伎として行われています。」

「もともと歌舞伎を上演することは江戸幕府の締め付けが厳しかったようですね。
ですが、神様へ奉納という形をとれば仕方なくというか、締め付けもそんなになかったので奉納歌舞伎という形をとったということらしいです。
なので、奉納という形をとっていますが、観客は楽しんでいただくといいと
私は思っています」

上演演目はどれくらいありますか?
「よく上演する演目は30ほどです。」

肥土山農村歌舞伎保存会というのはどういったみなさんですか?
「肥土山に住む歌舞伎に関心のある老若男女です。
大体、若い人で20過ぎから80過ぎまでの45名で構成されています。
その45名が役者部会、浄瑠璃部会、三味線部会とかに分かれ、分担しながら活動しています。」

「実はここ数年前にずっと指導されていた方が立て続けに2名亡くなってしまって、
今はみんなで力を合わせながら、ビデオを見たり相談しながら
みんなで作り上げていっています。」

「毎年何人かは若い人が入ってくれて、そういった人たちが年々、先輩たちの技術や芝居をやるやり方を身に着けて行ってくれてありがたいなと思っています。」

300年もの長い伝わってきたものを途絶えさせてはいけないという思い
重責の中の決意と歌舞伎が好きだという気持ち。
お芝居は娯楽なので気楽に楽しんでほしいという佐々木さんの思い。
毎年、ずっと地域の人たちの手で農村歌舞伎を続けていく難しさや楽しさが佐々木さんのお話から伝わってきました。

次は農村歌舞伎の楽しみ方・今年の演目についてお届けします。
お楽しみに
