本番当日までに10日を切り、いよいよ練習も仕上げの段階に入った
肥土山農村歌舞伎。
会場となる春爛漫の離宮八幡神社で、肥土山農村歌舞伎保存会会長の佐々木育夫さんにいろんなことを教えていただきました
「肥土山の農村歌舞伎の始まりは貞享3年(1686年)だと言われています。
水不足に苦しんでいた農家の人たちの為に庄屋の太田典徳さんは自費を投じて灌漑用のため池を作ることにしました。
3年ほどの年月をかけてやっと完成した蛙子池(かえるごいけ)から離宮八幡神社まで水が流れてきたのを喜んだ村人達が肥土山離宮八幡神社の境内に仮小屋を建て、芝居をしたのが始まりだと言われています。」
「今も典徳さんは肥土山にとって、とても大事な人なんですよ」
と、佐々木さんの言葉のとおり通りに、今も太田典徳さんのお墓はきれいに守られ大切に祀られていました
中山農村歌舞伎と肥土山農村歌舞伎はどちらも
香川県指定の無形民俗文化財。
また、農村歌舞伎が上演される茅葺き屋根の舞台は、
ともに国指定の重要有形民俗文化財の指定を受けています。
どちらの地区も山や田んぼが広がり、舞台は自然の風景と溶け合っていて、歌舞伎が上演されるときは風の音さえも効果音になるくらいです。
肥土山農村歌舞伎が上演される5月3日ごろは新緑が美しい時で、しかも山場を迎える夜には茅葺き屋根の上に月がぽっかりと顔を出すそうですよ!極上のシチュレーションですね
「肥土山では幕間も地元の人たちが踊りなどを披露します。まさに地元総出演!
役者からお三味線などの下座音楽はもちろん、かつらや衣装の用意から着付けまで。
すべてが地元の人の手でおこなわれるんです。」
地域の人たちが守り、受け継ぎ、育ててきた大事な大事な伝統文化だと佐々木さんのお話から感じられました。
今回は子ども歌舞伎の演技指導にあたられた佐々木さん。
来年はぜひ!舞台に立ってらっしゃるところを拝見したいですね!
今回の取材も、歌舞伎好き同士でお話はなかなか尽きることがありませんでしたっ〜
国指定重要有形民俗文化財は、舞台だけではありません。桟敷も高座もそうです。香川県指定の無形民俗文化財は「小豆島農村歌舞伎」で、中山農村歌舞伎と肥土山農村歌舞伎だけではありません。
まあ、固いことはなしで農村歌舞伎を楽しみましょう・・・