いつもは忘れて生活している子供の頃の記憶の片隅を揺さぶられるんです。

出会いや別れの記憶。
意地悪をして泣かせた友達の事。
神社の床下に忍び込んだことや。
こっそり餌をあげていたのら猫のきょうだいの事。

楽しい事もたくさんあったし。そうじゃないこともたくさんありました。
二十四の瞳は「よかったね。めでたし。めでたし。」のハッピーエンドではありません。
でも、楽しいことも心温まることもたくさん描かれています。「絆」の言葉がじんわりとしみこんでくるお話だと思います。
今、心に一番残っているのは成長した子供達との同窓会での再会の場面。
目が見えなくなった磯吉が幼いころの写真を指さしながら、一人一人の姿や表情までまるで見えているかのように語るラストシーンはいろんな思いが込み上げてきて、涙がこぼれてしまいます。
切なくて悲しい涙なんですが、大人になってもくりかえし、くりかえし読み返してしまいます。

小説二十四の瞳が発表されて60年の今年。作品にふれてみるチャンス到来ですよ!