
鶴澤さんは現役の歌舞伎のお三味線奏者です。
5月に農村歌舞伎の公演を控え、「プロの方のお話を聞いてもっと、良い公演にしたい!」
と、いう肥土山地区のみなさんの熱意に押され多忙なスケジュールの中、なんと東京からいらしてくださいました


次の世代を担う小さな子供達から大ベテランまで。

みなさん、実際に舞台に立っている人達なので、「講演」というより、まるで勉強会。
お三味線を聞くだけではなく、鶴澤さんが実際に使っているプロの台本と農村歌舞伎の台本を見せ合って比べ、具体的な質問が飛びます。

お三味線を弾く時のコツや。練習方法。どこのメーカーの糸を使うのがいいのかまで!
プロのテクニックを自分のものにしようと、食いつくように聞いていました。
ほんと細かく、「そんなことまで!」という質問にも丁寧に答えてくださっていたのですが、
なんと鶴澤さん、お三味線をバラバラにしてしまいました。

みなさんから「あぁ〜」と、ため息みたいな声があがります。
お三味線ってバラバラにできるんや!でも、大丈夫かな?
心配をよそに、手際よく組み立てながら説明を続けます。
これは、「なんとか、少しでも地元の方がわかりやすいように」
との、心遣いだったそうですが、
話している鶴澤さんと聞いている肥土山の人たちの歌舞伎を好きという気持ちが一つになったところを見たような、そんな気持ちになりました。

そして講演が終わっても質問は止まりません。
それぞれ、表現の場所は違いますが、やっぱり歌舞伎を愛する気持ちは一緒なんですね

「ずっと、応援してます。できることがあれば、お手伝いします。また、帰ってきます。」
と、鶴澤さんとがっちり、握手をしたところを見ていると、
思わず、涙ぐんでしまいました。きっと、こんな風にして伝統は受け継がれていくんでしょうね。
300年もの歴史を受け継ぐということの誇りと大変さをひしひしと感じた夜でした

今年の演目も決定したそうなので、「どやぶち」と言われる打ち合わせで演目発表を行い、スケジュールを決め、みんなの気持ちを一つにしたあと、いよいよ、本格的な練習に入ります。